毎日新聞で海鮮一鰭が紹介されました

「はらこ丼」にあふれる地元愛

村上市役所からほど近い路地の一角、大きなのぼりと木造の外観が目印だ。引 き戸を開けて中に入ってみると、外観とは雰囲気が一変、白を基調とした明るい店内が広がる。一番に目を引くのは、店内の本棚にぎっしりと並べられた本。
夏目漱石や森鴎外の全集、洋書など、海鮮食堂にしてはなんとも珍しい光景だ。2階部分は「大町文庫」という図書館になっており、自由に閲覧できる、図書館一体型の海鮮食堂だ。
 江戸時代から続く同市の老舗鮮魚店「越後村上うおや」が2013年にオープンした。 店内の本は、「うおや」の上村隆史代表が、村上高時代の同級生と保管している。 同高の恩師3入の蔵書計約1万5000冊の保管場所に困っていた家族から相談を受け、店舗一体型の図書館を開設した。
「うおや」が仕入れた鮮度抜群の海の幸をふんだんに使った「海鮮はらこ丼」 (税込み1380円)が一番の人気メニュー。
地元産の鮭、はらこに加え、マグロや甘エビなどが惜しげもなく乗っている。
「うおや」で板前も務める佐藤直也店長(41)が毎朝厳選した素材を使用する。「おいしいのは当たり前。さすが老舗の鮮魚店がやっている店だけあるね、と言わせますよ」。 佐藤さんは自信満々に語る。
メニューは御膳や海鮮カレーなど全8種類。どのメニューにも板前歴20年の佐藤さんのこだわりが詰まっている。
 店名の由来は、同市の名産である塩引き鮭の部位の名前から付けられた。
鮭の「一ひれ」は胸びれについているカマの部分。
一尾から左右二つしか取れない貴重な部位で、同市では新年を迎える際に神様に謙譲する習わしがある。 「一ひれは、鮭の一生で休むことなく動く元気のシンボル。地域の魅力を絶え間なく伝えていきたい」
 今の時期のおすすめは、先月漁が解禁されたばかりの岩ガキ(税込み600円)。 新潟・山形地震で震度6強を観測した同市山北産のカキだ。
「震災の風評被害などもあるが、村上の最大の魅力である海鮮を通して、自分も復興の一端を担えたら」。 「宝石箱」とたとえられることの多い海鮮丼のように、佐藤さんのまなざしは地元愛にあふれ輝いていた。
「北村秀徳」

一番人気の「海鮮はらこ丼」を手に、店のトレードマークである本
棚の前で写真に納まる佐藤直也店長=いずれも村上市大町で

村上市役所の近く、えんじ色の大きなのぽりが目印だ

海鮮一鰭 村上市大町4の5

定休日は原則木曜。午前11時~午後3時のランチ営業のみ。
全32席、全席禁煙。季節限定メニューやデザートもある。
駐車場は10台。